MENU

    ソウル国立中央博物館の魅力とは?

    ソウルの国立中央博物館は、韓国を代表する文化財をまとめて見ることのできる博物館です。先史時代から三国時代、統一新羅、高麗、朝鮮王朝まで、韓国の歴史を時代ごとにたどれるだけではなく、仏像、高麗青磁、書画、金属工芸など、韓国美術を代表する作品も揃っています。

    ソウルには景福宮や昌徳宮、宗廟など朝鮮王朝の史跡が数多くありますが、それよりはるか以前の韓半島ではどのような文化が生まれ、新羅や百済、高句麗がどのような時代を築き、その後の高麗や朝鮮王朝へ続いていったのかとなると、街を歩いているだけではなかなか見えてきません。国立中央博物館では、その長い歴史を文化財とともに追うことができるため、ソウル観光の途中で訪れると、それまで別々に見えていた宮殿や寺院、仏像、陶磁器などの背景まで分かってきます。韓国旅行をもう少し深く知りたい方にとって、見応えのある場所だと思います。


    目次

    韓国史を一度に見られる

    国立中央博物館の常設展示は3フロアに分かれ、展示面積は27,090㎡あります。1階では先史・古代から中世・近世まで、2階では書画や寄贈文化財、3階では仏教彫刻や工芸品などが展示されており、韓国の歴史と美術を一つの博物館で見渡せることが大きな特徴です。韓国史に詳しくなくても、最初に1階を見ていけば、旧石器時代や青銅器時代から三国時代、統一新羅、渤海、高麗、朝鮮王朝へと時代が移っていく様子が分かってきます。

    なかでも韓国旅行との相性がいいのは、博物館で見た時代を、その後の観光地で確かめられるところでしょう。慶州で新羅の古墳や仏教文化を見る予定なら新羅の展示、景福宮や昌徳宮を訪れるなら朝鮮王朝、高麗青磁に関心があるなら高麗の展示を見ておくと、それぞれの観光地が単独の名所ではなく、韓国史の一部として見えてきます。ソウルだけを訪れる旅行でも、新羅や百済、高麗まで含めて韓国全体の文化に触れられるので、王宮だけでは分からない韓国の歴史を知る場所として国立中央博物館は存在感があります。


    半跏思惟像を見る

    国立中央博物館で特に見ておきたいのが、2階の「思惟の部屋」に展示されている2体の半跏思惟像です。いずれも韓国を代表する国宝で、6世紀後半と7世紀前半に制作された金銅仏です。片方の脚を反対側の膝に載せ、右手の指を頬に触れさせながら考え込む姿をしています。この姿は、釈迦が王子だった時代に人間の生老病死について思索した姿に由来するとされています。

    この2体を見るために設けられた展示室も、一般的な博物館の展示とは雰囲気が異なります。照明を抑えた静かな空間の先に2体だけが置かれており、多数の文化財を順番に眺めていく展示とは切り離されています。像そのものを見ると、6世紀から7世紀の金属工芸とは思えないほど身体の姿勢が自然で、衣の線や顔の表情まで繊細です。一方の像には西方からシルクロードを経て伝わった意匠の影響も見られ、古代の韓半島が周辺地域と文化的に隔絶していたわけではなかったことも分かります。国立中央博物館の魅力を一つだけ挙げるなら、この2体の半跏思惟像を見ることだと言ってよいでしょう。


    高麗青磁と仏教美術

    韓国の美術を見るなら、3階も外せません。ここでは仏教彫刻、金属工芸、陶磁器などがまとまっており、とりわけ高麗時代の工芸品は見応えがあります。高麗と聞いて歴史上の王朝名は知っていても、その文化がどのようなものだったのかまで日本で触れる機会は多くありません。国立中央博物館では、青磁をはじめとする工芸品を見ることで、高麗が高度な技術と独自の美意識を持った時代だったことが伝わってきます。

    高麗青磁の特徴として知られるのが、青みを帯びた透明感のある色と、器面に文様を施す象嵌の技法です。写真では色や文様が先に目につきますが、展示室では器の厚み、曲線、釉薬の質感まで見えるため、工芸品としての完成度がよく分かります。また、韓国では三国時代以降、仏教が美術や建築に大きな影響を与えてきました。金銅仏や石仏、仏教工芸を時代別に見ると、朝鮮王朝以前の韓国文化に仏教がどれほど深く関わっていたのかも見えてきます。韓国文化を王宮と韓服だけで捉えず、その前に続いた1000年以上の歴史まで知ることができるのが、この博物館のおもしろさなのです。


    建物そのものも見どころ

    国立中央博物館は展示物だけを見る場所ではありません。現在の龍山の博物館は2005年に開館し、延床面積は138,156㎡、地上6階、地下1階という非常に大きな建物です。巨大な建築ですが、外観を装飾で埋めるのではなく、韓国の伝統建築に見られる山と水の関係を現代建築として表現しています。南山を背景とし、博物館の正面には鏡池が置かれ、水面に建物が映るよう設計されています。

    館内中央を通る大きな空間には「歴史の道」が設けられ、その近くに高さ13.5mの敬天寺十層石塔が建っています。1348年に制作された高麗時代の大理石製石塔で、一般的な韓国の花崗岩製石塔とは外観も彫刻も異なります。もともとは寺院にあった大型の石塔を屋内で見られるため、展示ケースに収められた文化財とはまったく異なるスケールです。屋外にも石塔、石灯籠、石仏などが配置され、鏡池の周辺には高麗青磁の瓦を再現した屋根を持つ亭もあります。館内を見終わったところでそのまま帰るのではなく、建物と庭園まで歩いてみると、国立中央博物館が単なる展示施設として造られたものではないことが分かります。


    ソウルで半日かけたい博物館

    国立中央博物館は規模が大きいため、すべての展示を同じペースで見ようとするより、韓国史を見たいのか、美術を見たいのかを決めておくと内容を楽しめます。初めてなら、1階で先史時代から朝鮮王朝までを見たあと、2階の思惟の部屋で半跏思惟像を見て、3階の仏教彫刻と高麗青磁を見る行程がよいと思います。これだけでも国立中央博物館を代表する展示はかなり押さえられます。常設展示だけなら観覧料は無料なので、ソウル滞在中に時間を確保して訪れてもよいでしょう。

    所要時間は、主要展示に絞るなら2~3時間ほど、韓国史や美術に関心があるなら半日ほど見ておくのがおすすめです。水曜日と土曜日は夜まで開館しているため、日中に王宮や市場を観光し、その後に国立中央博物館を訪れる日程も組めます。地下鉄4号線・京義中央線の二村駅から徒歩約10分で、明洞から地下鉄を利用する場合はおよそ25~30分が目安です。

    ソウル国立中央博物館の魅力は、単に有名な国宝が集まっていることだけではありません。景福宮で見る朝鮮王朝、慶州で見る新羅、高麗青磁に残された高麗の美意識、古代から続いた仏教文化といった、韓国各地に残る歴史を一つの場所で見ることができます。ソウルの観光名所を巡るだけなら知らないまま終わる韓国の一面を、文化財そのものを見ながら知ることのできる場所です。韓国旅行で博物館を一つ選ぶなら、国立中央博物館を最初に候補にしたいと思います。



    目次